勉強だけすりゃあいいってもんじゃない!
夏は天王山と言われるように、受験生にとって勝負の分かれ道。
真剣に勉強した受験生は、9月以降の成績を飛躍的に伸ばすことになるだろう。
塾でも夏期講習会の申し込み真っ最中である。
きっと長い休みの間の勉強方法ついて説明されていることと思う。
塾によっては合宿も企画し、「夏休み中ずーっとフルに勉強してもらいます!」と鼻息が荒いところも少なくない。
しかし夏の勉強方法として「毎日塾で勉強漬け」なんて状態ではいけない。
お盆の時期のように休めるところは休んで、リラックスしなければパンクしてしまう。
勉強だけすりゃあいいってもんじゃないのだ!
せっかくの夏休み、どうせなら楽しい思い出を残さなければ人生に張りが出ない。
友だちとも遊んだ方がいいし、家族で旅行にも行った方がいい。
おじいちゃんやおばあちゃんにも会いに行った方がいい。
もちろんこれらは「受験勉強」ではない。しかし価値ある「人生勉強」である。
「受験勉強」から逃げ出したくて、家族と旅行に行くのでは意味がない。
でも受験生だからといって「受験勉強」だけの夏休みでは、貴重な「人生勉強」のチャンスを失ってしまう。
お盆休みぐらいは机から離れて、思いっきり外で「人生勉強」をして欲しい! 私の心からの願いである。
例えば私が幼い頃、家族で旅館に泊まったときのこと。
両親が旅館の仲居さんにお金を渡しているのを見たことがある。
お心付け、いわゆるチップを渡していたのである。
私はその光景を見て、旅館に泊まる際にはチップを渡すものなんだな、と学習した。
宿泊中短い時間ではあるが、仲居さんは配膳から布団の準備などお世話をしてくれる。
この短い時間でも良好な関係を築く上で、心付けを渡す習慣は悪くないなと感じたものである。
実際、宿泊中の仲居さんはとても気持ちのよい接客をしてくれたのを覚えている。
最近では、仲居さんにチップを渡す必要はないのかも知れない。
しかし古くから日本人が持っていた、お互いに気持ち良く過ごすためのルールである。
私はそれまで知らなかった大人の社会について学習出来た、最高の機会だったと思っている。
旅行と言えば、山口県にある母方の実家に帰省した時も印象深い。
久しぶりの実家に母はリラックスし、祖父母やおじ・おばと楽しそうに談笑していた。
しかし父はどこか居づらそうなな雰囲気で、言葉づかいも何かよそよそしい。
母への言葉づかいもいつもと微妙に違ったのである。
自分の田舎ではなく、「妻の田舎」だというアウェイの空気感。いつもは厳粛な父親が見せる柔和な立ち居振る舞い。
私はそこで、人間関係と夫婦間の機微についてなんとなく知ったのだった。
子供たちは本当によく物事を観察する。大人が何とも思わない日常の些細なことでさえ、子供たちは驚き、学び、そして大きく成長する。
夏休みだからこそできる貴重な体験を、どうか子供たちに与えて欲しい。
「受験勉強」はメチャクチャ大切である。しかし同様に、いやそれ以上に「人生勉強」もメチャクチャ大切なのである。
共通することは、「子供が大人になった時、かけがえの無い体験になる」ということ。
思いっきり遊び思いっきり学べば、必ずや希望に溢れた将来がやってくる。
子供たちには常に「学ぶ気持ち」を持って、この夏休みに臨んでもらいたい。
無理やり机に座らされてする勉強なんて、1ミリも意味なんかないのだ。
