子供に勉強を教えてはいけない
いよいよ年の瀬、2009年も終わりである。
「紅白歌合戦の出場者」とか「流行語大賞」、「今年の漢字」などが発表されたというニュースを見ると、「またあの季節がやってくるのか」と身が引き締まる思いになる。
「あの季節」とはもちろん来年1月~2月の「受験本番」のことである。私の塾にも多くの受験生が自習に来て、1日4時間以上勉強していくこともザラである。彼らの集中力と言ったら本当にすごい。同じぐらい集中しろと言われても、邪念が入った私には恐らく出来はしないだろう(笑)
そんな彼らに触発されてか、再来年の受験に向けて、現5年生の入塾希望者が数多く来るようになった。もっとも私の塾の場合、1年の一定時期にしか入会テストを行っていないのだが……。
ある時、多くの入会希望の保護者の方々と顔を合わせているスタッフが、ある事に気がついた。保護者の方々の抱えるお悩みが、言葉尻は違うもののほとんど一緒だというのだ。
「4年生までは成績も良かったのに、最近はパッとしない」
「塾の授業についていけない……」
「成績が落ちてきた……」
「下のクラスに落ちてしまった……」。
「4年生までは上位クラスにいて塾も喜んで通っていたのに、いまでは通うのも苦痛になってきた」
「最近は塾の授業も難しくなって、よく理解できないままに帰ってきているみたい」
「塾から出される宿題をこなすのも大変で夜までかかってしまう」
驚かれるかもしれないが、こういう悩みを抱える子供のほとんどが、4年生までは優秀生であった子供たち。
4年生までは塾の最上位クラスにいたり、偏差値も60以上だったのだが、5年生になって塾の勉強についていけなくなってしまったのである。
いったいぜんたい、何故こんなことが起きるのだろうか?
実は4年生までの学習単元というのは基礎分野がほとんど。ある程度勉強の習慣が身についていれば、あまり苦にせずこなせてしまうものなのだ。
つまり、勉強や受験への意識が比較的高い子供であれば、良い成績が維持できる。
しかし、5年生からの学習単元は受験での骨格をなす重要単元で、難易度も段違いに難しくなる。
どのくらい難しくなるかと言うと、1段ずつ階段を昇っていたのが、急に3段ずつ階段を昇るくらい。とにかく、急激に大変になるのだ。
このペースアップについていけないことが、5年生で成績不振になってしまう大きな原因なのである。
スランプに陥る子供は多くの場合、4年生までは成績優秀だったので「それまでのやり方」に固執してしまい、改善にも消極的になっている。
またこのようなケースでは、親が子供の勉強を教えている場合がほとんど。
4年生までなら、塾の授業を仮に理解してこなかったとしても、家庭で親(特に母親)が教えてあげることができる。
あくまで基本的なことを学習する段階なので、素人知識でもそれなりに理解していることだからだ。
だが、これがいけない!
こうなると子供は、自分だけでは「勉強できない体質」になってしまう。
そんな悪い習慣が身について5年生になると、もうどうしようもない。
難易度が上がり、子供は親に教えてもらいたくても、もう親は教えることができなくなる。すると子供は自分ひとりで「勉強できない体質」なので、家庭で復習しようにも何にもできない。
こうなると宿題を満足にこなすことも難しくなり、塾の授業についていくのがやっとに。
いつの間にか「志望校合格のため」でなく「塾の授業に追いつくため」に目的が入れ替わり、やがてじわじわと追い込まれてしまうのである。
自分だけで勉強しようとしても、親に教えてもらう習慣が身についてしまっているので、ここから脱却するのに時間がかかる。
こうやってどツボにはまっていくご家庭が本当に多いのだ。
つまり、親は子供に授業をしてはいけない。
教えたとしてもせいぜい2年生まで。それもすべてを教えるのではなく、考えるヒントを与えるまでにしなければいけない。
手取り足取り全部を教えようとする保護者がいるが、これは最悪である。
「手取り足取り」懇切丁寧に教えてもらった子供は、受験本番で結果が残せない。
「勉強できない体質」が抜けない以上、テストでも「誰かに教えてもらわないと分かんない」とパニックになり、知っているはずの知識でも得点に結びつけられないのだ。
いつまでも親が隣につきっきりではいられない。自分ひとりでもしっかりと問題に取り組み、得点できるように成長することが何より大切なのだ。
だから、勉強は子供がひとりでやらなければいけない。塾の勉強を理解するために、家庭教師をつけるご家庭も多いがこれも本末転倒である。
ひとりで勉強できなければ、その子には厳しい世の中を「生きる力」が身につかない。子供のためを思うなら、ひとりでコツコツ勉強させましょう!
「じゃあどうすれば子供ひとりで勉強できるようになるか」はまた次回のお楽しみ。
