野田英夫の左手理論
少し前の話である。受験生たちが最後の追い込みで必死に勉強している最中、私は私である“凄いこと”に挑戦していた。
「利き手の右手ではなく、『左手』で箸を使えるようにする」ことである。
これはハッキリ言ってかなり難しい。「そんなの簡単だよ」と思われるのなら、ぜひ試してもらいたい。
「絶対にムリ!」と途中で投げ出してしまうことだろう。
「何故そんなことを?」と言われても、特に大した意味はない。
右手を負傷して箸が持てなかったという訳でもない。本当に大した意味は無いのである。
強いて理由をあげるのならば、利き手ではない左手を使うことで「新たな能力アップが図れるのでは?」と期待したまでだ。
挑戦初日はまったく箸がうまく使えず、白米を食べようにも上手く口に運べなかった。
「まるで初めて箸を使う外国人のようだった」とは、周囲のスタッフの言葉である。
私もまぁそれはそれはイライラしながら食事していたのを覚えている。
しかしながら3日、4日と左手での食事を続けると、お世辞にもお上品とは言えないものの、ある程度は箸が使えるようになってきた。
そして日に日に左手での箸の使い方も上手くなり、1週間も経つと何の違和感もなく食事を済ませることが出来るようになってしまった。
“慣れ”とはスゴイものだなと、改めて実感した経験であった。
ところで、来年・再来年と中学受験に挑むあなたのお子様は、「受験勉強」という挑戦に“慣れて”いるだろうか。
そもそも、勉強することに“慣れて”いるだろうか。
自宅学習が日常になっているだろうか。
どんなことでもスタートは苦しい、厳しい、難しい嫌なものである。スポーツにしても、語学にしても、そして勉強だってそうだ。
しかし諦めずに毎日コツコツ継続することで、やがてそのことに“慣れ”、当たり前に出来るように成長するのである。
私の左手がその証明である。いわば「野田の左手理論」とでも言うべきか(笑)
あなたのお子様は毎日「漢字練習」や「計算練習」を欠かさず実施しているだろうか。
例えば漢字練習。普段とても字が汚い子供がいたとする。
私ならその子の字の矯正、そして文字を書くことに“慣れて”もらうために、1日3語『めちゃくちゃ丁寧に』ノートに複数回書かせるようにする。
最初は嫌々、しかもかなり乱雑な字でノートに書き込みをしていくだろう。
だがここで叱ってはいけない。むしろ「すごい! ちゃんと勉強しているね!」と褒めまくってやるのである。
すると子供としても当然悪い気はしない。むしろもっと褒められたいという気持ちから「また次も頑張ろう」となり、翌日もしっかり練習をする筈だ。
こうして毎日繰り返すと、その子は自発的に練習をするようになる。少しずつだが字も丁寧で美しい文字に変わっていく。
ある程度書くことへの抵抗が無くなった段階で、難易度を上げたり課題量を増やしてやればいい。
仮に書く語の数がスタート段階の倍になったとしても、既に“慣れて”しまった子供には苦痛でも何でもない。
むしろ「今度はもっと綺麗な字を書いてやろう」と意気込んで、より一層練習にも精が出るだろう。
計算練習だって同じこと。まずは簡単な足し算引き算の問題から始めればいい。
そこから徐々に問題数を、そして難易度を上げていけば、子供も無理なく継続できるし、何よりも計算に“慣れる”。
勉強することに“慣れ”、日常に無くてはならないものとすること。
これが出来た生徒は今まで例外なく合格している。千里の道も一歩から、日々の継続が大切なのである。
志望校合格を実現させるため、まずは身近なところから。
そして「子供と一緒に頑張る!」という方。
私のように「左手で箸を持つ」ことでも、それ以外の事でも何でもいい。
ぜひお子様には「お父さん、お母さんも頑張っているんだよ」という姿を見せてあげて欲しい。
