「守り」を固めて負けない受験を
今週は前回からの続き。「『守り』としての国語」というテーマについて話そうと思う。
さて、先週の終わりから私はこうして国語の事を「守り」と呼んでいるわけだが、皆様にはその理由がわかるだろうか?
まずはしっかりと中学受験における「守り」とはどういうことなのかを説明しておこう。
私が言う「守り」とは、「最低限のレベルをしっかりと固めること」。
他の受験生が正解してあたりまえの問題を確実に得点することである。
難関校なら尚更、確実な「守り」が出来ずに合格点まであと一歩届かなかったというケースは山ほどある。
実際に多くの難関校で各教科の受験者平均点を見てみると、国語が軒並み他教科と比べて高い。
例えば早稲田実業中の場合、100点満点のテストで国語の受験者平均60~70点と高い数値で推移している。
しかしながら同じ100点満点教科である算数では平均が40~50点と、多くの受験生が苦戦しているようだ。
つまり、早実の場合「いかに国語で高得点を確保するか」が大きな分かれ目と言える。
極端な場合、ある年度の受験者平均点は、国語が70.0点なのに対し算数はなんと35.8点。
国語でしっかり高得点を確保すること、つまりしっかりと「守り」を固めることが合格の最低条件であると教えてくれる。
国語が「守り」の教科ならば、その対をなす「攻め」の教科は算数だ。
皆が苦戦して得点が伸びない教科で高得点を取れば合格につながるのは誰が見ても明らかだ。
先ほどの早実は正にその典型例だ。周りが35点どまりの中、60点を獲得すればそれは大きなアドバンテージである。
しかし、私が言いたいのはそのアドバンテージも「守りがしっかりと固まっていなかったら意味がない」ということ。
もし算数で60点取れていても、国語が40点しか取れていなければ、せっかくのリードを完全に失うことになる。
いかに攻めが充実していても、守りが疎かならば勝利は程遠いのだ。
例えば先日開幕した春の甲子園大会で、前評判の高かったガンガン打ちまくる「攻め」のチームが、相手チームの好投手を前に快音が消えるなんてよくあること。
逆にエースを軸に「守り」をしっかり固めたチームは、どんな相手であろうが堅実な、安定した戦いが出来る。
きっちりした「守り」が出来れば、負ける事はないのである。勝利に近づくためにはまず「守り」からなのだ。
もちろん守っているだけでは勝てない。攻撃が不要と言いたいわけではない。
とどのつまり私が言いたい事は、「守り」あっての「攻め」。「防御は最大の攻撃」だということ。
算数というのは「攻め」の教科なだけあって、学校側も頻繁に問題を難しくしたりする。
もちろん、これはどの受験生であっても同じ条件であるため、出題の傾向が変わったからといって成績が悪くなるという訳ではない。
しかし、こういうときに国語を不得意にしていると、「守り」が弱いため取りこぼしが尾を引き、不合格になる場合がほとんどなのだ。
明治維新に尽力し、後に「日本軍閥の祖」と呼ばれた山県有朋翁は「攻撃は最大の防御である」と言ったという。
しかしこれは本来ドイツ人将校が「防御なくして攻撃なし(まず内側を固めないと果敢な攻撃はできない)」と言ったものを、わざと言い換えたもの(らしい)。
ついつい山県のように功を焦ってか効果を狙ってか、「攻め」ばかりに目がいってしまう。
しかし時の先進国ドイツの一将校が言った通り、まずはしっかりと傷を少なくする手はずを整えなければ、いざという時に痛い目に遭ってしまうものなのである。
