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    【カテゴリ】雑感

    中学受験と東京マラソン

    今日は3月3日。桃の節句である。娘さんのためにお雛様を飾り付けている家も多いのではないだろうか。
    しかしながらまだまだ寒い日が続きコートを着ずに外に出られない。やがて来る陽春の日が恋しく感じられる季節である。そんな私にとって、寒空の下、しかも雨が降りしきる中を、半袖短パンの軽装で長時間走り続けるなんて不可能に近い。
    東京マラソンの話である。
    去る日曜日、2月28日に開催された東京マラソン。
    今年で4回目となるビッグイベントだが、年々参加人数が増えているそうで、今年はついに参加ランナー数が3万5000人に達したという。

    実際走るのも大変だが、そもそもエントリーするのはもっと大変らしく、参加権獲得の抽選倍率はなんと約10倍。

    つまり全国で35万人もの人が、「東京マラソンで走りたい」と強く希望したことになる。

    その動機の多くが以前の東京マラソンを見て、「自分も走りたい」と思ったのがきっかけなのだそうだ。

    私たちが目指す中学受験というステージも、この東京マラソンととても似ている。いや同じと言ってもいいのではないか。

    マラソンの場合、最近のジョギングブームにのっかって皇居あたりを走ってみるも、直ぐに息は上がり翌日には筋肉痛に襲われ、1か月と長続きしない人が多いらしい。
    中学受験も多くの場合、仲の良い友達が塾に通い始めて、「じゃあ僕も行きたい!」「私も受験する」と勉強を始める場合が多い。
    そしていざ塾に通ったり家庭教師を付けたりして勉強を始めるのだが、やってみると結構面倒くさいことがわかり、ヤル気を失ってしまう。
    最初に遭遇する困難さ、つまりついつい妥協してしまう「甘え」に打つ勝つことが出来ない限り、勉強もジョギングも長続きはせず、本番の中学受験やマラソンまで到達することが出来ないのだ。
    また、ずっと先にあるゴールを目指すということも共通している。
    マラソンの距離は42.195キロ。コースによって高低差や気候の違いはあれど、走る距離は同じだ。
    そして中学受験のゴールも受験日である2月1日である。最初の学力差はあれど、受験のために残された勉強時間はみな同じ。
    この平等な条件でいったい何が大きな差を生むのかと言うと、「いかなる困難にも打ち勝つ強い心」である。
    すなわち「絶対に合格してやる!」「必ず完走して見せる!」という気迫が、結果を残すために必要なのだ。
    先日の東京マラソンでは午前中に雨が降っていた。ランナーにとってはかなりつらい、ハッキリ言って最悪のコンディションである。
    ランナー達は42.195キロという「困難」な道のりを進むというのに、さらに悪天候という「困難」と闘わざるを得なくなったのだ。
    しかし彼らは諦めなかった。「もうやめよう」という甘えに決して妥協することがなかった。
    3万5000人のランナーのうち、完走したのが全体の94.5%。これもランナー達の気迫が数字に表れた結果だろう。
    一方で中学受験にも多くの困難が押し寄せてくる。
    何年間か受験勉強を続けていると、どんな生徒でも必ず成績が下降することがあるものだ。
    それが何ヶ月も続けば、受験を辞めたいと言い出す生徒も多い。
    ただしそこで辞めてしまったら、マラソンで言うところの途中棄権である。完走できなかったということである。
    目の前に立ちふさがる「困難」から逃げ、自分の「甘え」に妥協してしまっては、その後の人生でも同じことの繰り返しになるだろう。
    もし一度、子供が「中学受験をする」と決めたら、必ず最後までやり抜かせて欲しい。
    合格することだけが中学受験のゴールではない
    のである。中学受験を完走すること、やり切ることは、合否に関わらずそれだけで素晴らしいことなのだ。
    開催日当日の夜東京マラソンを完走した50歳代の男性と話をする機会があった。
    彼の顔はやり遂げたという自信に満ち溢れていた。タイムは4時間くらいということだったが、彼と話していると記録なんてどうでもいいと思えた。
    しかも彼の場合、50歳代でフルマラソンを完走したのだからスゴイ。更に完走した日の晩にお酒を飲むくらい元気だったというのも驚きだ。
    彼は顔をほんのり赤くしながら、私に言った。
    「マラソンなんてのはね、年齢は関係ないんです。毎日しっかりトレーニングを積んでるかどうか。それが勝負でさ、あとの敵は自分だけなんですよね」
    「マラソンで好成績を残すこと」は、中学受験で言えば「志望校に合格すること」に似ている。
    もっと言うならば中学受験の場合、合格した後の進路も明確になる。ずっと行きたいと憧れていた志望校の生徒になれるのだ。
    ランナーは走りながら、受験生は勉強をしながら、自分自身に何度となく語りかけてきたはず。
    辛いときには「もう辞めちゃえよ」と、弱気な自分に言われたことも何度もあっただろう。
    その言葉を振り払い、「絶対に最後までやり抜くんだ!」と毅然と言えるかどうかが、ゴールに笑顔で飛びこめるかどうかの境目なのである。
    42.195キロ。素人にはまぁ走りきれない距離である。
    だが毎日コツコツ走り込みを続けることで必ず完走できるようになる。その先のタイムを意識した走りも出来るようになる。
    中学受験も同じこと。日々の勉強の積み重ねこそが、「志望校合格」という感動的なゴールへと辿りつくための唯一の方法なのである。
    みなさんもどうか、決して「甘え」のない中学受験を目指していただきたい。
    そうすれば必ず、東京マラソンのランナー達のように栄光のゴールへと辿りつくことが出来るだろう。
    2010/03/03 23:43:15

    野田 英夫

    【プロフィール】
    1967年東京生まれ。
    早慶道場塾長。

    大学時代より家庭教師のアルバイトを始め、人気教師としてめまぐるしい日々を送る。この経験から「子供を成長させること」に生き甲斐を感じ、理想の教育を求めて㈱早稲田アカデミー入社。

    長年にわたりトップ講師として活躍し、御三家・早慶などの難関中・高へ数千人以上合格させた実績を持つ。この経験を評価され教師研修にも尽力。教師の教育を通じて理想の指導法を模索し続けた。そこで培ったノウハウを凝縮した独自の教育法を元に「家庭教師PASS」を創業。2009年度入試では早慶中合格率75.8%を達成した。

    そして2009年12月には「受験を通じて生きる力を育てる」という理念を実現すべく早慶中受験専門の進学塾である「早慶道場」を四ツ谷に開校。日々、子供たちの心に火をつけるべく、檄を飛ばし続けている。

    【WEBサイト】
    http://waseda-keio.jp/